紫陽花のかたち
梅雨になると可憐な紫陽花の彩りが、薄暗い視界にパッと目を引きます。
紫陽花は日本生まれ。
手毬のようなまぁるい形に見慣れているけれど、小さな小さな花の周りを縁取る「額咲き」のものが原種です。
万葉集に初出する紫陽花、それまでは庭に植えて観賞するというよりも、自然に群生しているものにふと歩みをとめるような一期一会な存在だったのかもしれません。
語源としては「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」が訛ったものが有力なようです。
冠位十二階には確か紫や青が貴い色とされていたので、色を名に込めるくらい大切にされていたのかなと勝手に想像します。
万葉集では「味狭藍」や「安治佐為」など当て字で記されているので、本当のところは分かりませんけれども。
「七変化」「八仙花」と呼ばれるように日本や西洋で品種改良されて様々な色や形を得た紫陽花。
白や薄緑から徐々に青く色づき始める頃が、どこか思い染める姿のようで私は好きです。